Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
尋ねて見ると、大男は今朝投宿したばかりで、一向馴染のない客であるが、別にこれといって変った所もないということであった。名前も分った。国籍は明智が想像した通りフランス人であった。若しや大きな荷物を持っていないかと聞くと、案の定大型トランクを三つも部屋へ持込んでいるとの答えだ。しめた、そのトランクこそ曲者だ。トランクの中味が国宝玉虫厨子だったらと思うと、波越氏は胸がワクワクした。
「少し尋ねたいことがあるのですが、その客の部屋へ案内して下さらんでしょうか。序でに通訳をお願いしたいものです」
警部が頼むと、支配人は快く承諾して、長い廊下を先に立った。その部屋に来て見ると、ドアが締っていて、ノックをしても開かぬので、部屋ボーイが呼ばれた。
「お客様は?」
「さっきご出立になりました」
「御出立になった? そんな馬鹿なことはない。今朝お着きなすったばかりじゃないか」
支配人がびっくりしてボーイの顔を見た。
「でもご出立になったのです。つい今し方です。外からお帰りになると、私を呼んで、これから出立するからと、そのまま手ぶらでお出ましになったのです」
では波越警部達が支配人室に入っている間の、極く僅かな時間に、まんまと逃げられてしまったのであろうか。