Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

「どこへ行ったのかしら、きっと着換の寝間着を取りに行ったのでしょう」

と心待ちに待っていても、小雪はなかなか帰って来ぬ。

耳をすますと、しんと静まり反った、夜の中に、幽かに、幽かに、あるかなきかに聞えて来る、裏山の夜鳥の声。姫は湯の中ながら、ゾッと鳥肌立つ思いで、おびえた目は自から庭に開いた窓に注がれる。その曇りガラスの扉の外に、ソッと忍びよる人の足音さえ聞える様な気がするのだ。

浴槽を出るのはおろか、湯の中で身体を動かすことさえ憚られ、破れる様に高鳴る胸を押えて、じっと身をすくめていると、アア、何ということだ、その窓の扉が、ひとりでに、一分ずつ一分ずつ、じりじりと開いて行くではないか。

幻覚だ。でなければ、悪夢を見ているのだ。夢なら覚めよと祈ったが、覚めるどころか、扉の隙間は見る見る拡がって、その向うから、吹き込む冷かな夜気と共に、真黒な夜がバアと覗いている。

姫は身動きは勿論、喉がふさがって、声を立てる気力もない。だが、目丈けは、目に見えぬ糸で引張られている様に、扉の隙間に固定して動かぬのだ。

アア、今にも、今にも、あの真黒な隙間から、無表情な金色の顔が、覗くのだ。