Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
明智は長い間如来像を凝視していたが、何を思ったのか、突如、拳を固めて如来様の横面をはり飛ばした。
「コラッ、何をする。貴様、気でも違ったのか」
侯爵が激怒して駈け寄った時には、已に如来様は台座を辷り落ち、固いコンクリートの床で、粉々に割れていた。
「侯爵、御覧なさい。これが藤原時代の木像でしょうか」
見ると明らかに石膏細工の偽物だ。
アア、何という見事な模造品。賊はいつの間にこの様な石膏像を用意することが出来たのであろう。侯爵は昨日大使を案内した時は、それが決して偽物でなかったことを記憶していた。
明智は何気なく、如来像の底部に当る、石膏の一片を拾い上げて、ひねくり廻している内に、その表面に、A・Lという何かで引掻いた様な文字が記されているのを発見した。
A・Lとは一体何の記号であろう。まさかこんな犯罪用の偽物に、作者が署名をする筈はない。とすると……。
明智は何か、心の奥の奥から、秘密の解釈を探り出そうとするものの如く、じっと考え込んでいたが、やがて、何を思い当ったのか、流石の名探偵も、すっかり相好が変ってしまう程も、深い深い驚きと恐れに打たれた様子である。