Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
こいつは、用心をしないと危いぞ。明智はふとそこへ気がついた。
彼は舵を握ったまま、何ぜという訳もなく舟の中を見廻した。云い知れぬ不安に襲われたからだ。
すると、アア、これはどうしたことだ。舟の底に、もう二寸程も水がはいって、ジャブンジャブンと不気味な音を立てているではないか。昂奮の余り、誰一人足の下の浸水のことなど気づかないのだ。
「誰か舟の底を検べて下さい。どこからこんなに水が入って来るのだか」
明智の声に、人々はやっとそれを悟って、俄かに騒ぎ出し、水の中を手さぐりで、舟底を検べ始めた。
「いけないッ。大きな穴があいている。何かこめるものはありませんか」
刑事が舟底の穴を発見して、青くなって叫んだ。
云う内にも、水は刻々に増しつつある。人々の靴を浸し、已にズボンの裾を濡らし始めた。
「これだ。これをこめ給え」
明智が手早く羽織を脱いで投げた。
刑事はそれを丸めて浸水の箇所を塞ごうとあせる。だが、もう手遅れだ。六人の目方と同じ力で吹き上げる水を、間に合わせのこめ物なぞで防ぐことは出来ぬ。
立騒ぐ間に、浸水は早くも舟の半ばに達し、舟は刻々に沈んで行く。エンジンは動いているけれど、舟足が重くなった為に、速度は半減されてしまった。