Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans

Aozora Bunko

鬼影

どうだ。落着いたかい」

「いや、すまぬ。かたじけない。もう、だいじょうぶ……」

「今夜は吉原へシケこもうというのに、なんと不景気な面だろう。吉原の馴染みが泣くぜ」

暗い田ン圃道を渡って、根岸から三輪へ出た。

この辺には、江戸の商家や吉原の楼主の寮が多い。ここもその一軒か、船板塀に冠木門。大亀は小声を出して指さした。

「さ、これから金の算段だが、宵強盗は荒仕事ときまっている。おめえはしばらく外を見張っていねえ」

ふところから、黒布を出し、市十郎にも渡して、強盗被りに顔をつつんだ。そしてそこの塀をおどり越えた――と思うと、内から、潜り戸を開けて、また顔を出した。

「オイ……。見張を抜かるなよ。這入ッて来るときは、あとを締めて来るんだぞ」

鬼影

市十郎は、いわれた通り、しばらく外で立番していた。

宵なので、折々、通る人影がある。そのたび彼は恟々と、獣じみた眼を光らせた。その眼はまったく一月前の彼ではない。市十郎はたしかにどうかしている。

ひとつには、奥へ、大亀が這入って行ったとたんに、異様な物音と、女の叫び声が起り、それが一瞬に止むと、不気味な静けさに返ったので――外にいた市十郎の気も逆上ッていたにちがいなかった。