Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans

Aozora Bunko

と、泣いた昔を思いだして、涙も出ない今の自分の変わり方を、露八は、年のせいか、時勢のせいかと疑った。

吉原の飯は、露八をして、肥えている上にぶくぶくと肥えさせて行った。それがまた、道化稼業には都合がよくて、

「仁王をよべ」

といえば、松の家へかかる。

黒助稲荷の朝湯には、きまって、露八の大声が聞こえる。夜ごとの酒の脂肪を糠袋でこすりたてた露八の顔を見ると、顔に顔が映るといって、仲之町の芸妓たちが面白がった。

女房ももち、養女も貰い、金のまわりが楽になると、露八はほとんど、家庭にはいなかった。道楽のうちでしないのは博奕だけであった。あいつの顔は顔を見ただけでもおかしい、あんな道化てばかりいる暢気者はないぞとは、客の云うことであるが、吉原の者は、台屋の横丁のぬかるみを、苦虫を噛みつぶして、黙然と腕拱みしながら、聾のように歩いている彼の姿をたびたび見かける。

三

「松の家さん、こんど銀行ってものが出来るってえじゃありませんか。銀行って、何をする商売です?」

黒助湯の番台が、東京日日新聞をひろげて、開化の智識を求めるように、露八へ訊く。

「銀行? へエ……」

裸体の露八は、新聞を置いて、背中から湯気をだしていた。