Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans
三
「きゃっ――」
芸妓たちが、魂消るように叫ぶと、船頭も、わっと、艫の蔭へ身を竦めて、
「笛を止めた! 笛を止めたっ!」
と、お菊ちゃんへ、注意した。
だが、一曲済まないうちは、止めるに止まれないもののように、お菊ちゃんは強情に吹きつづけていた。大きな弾丸は、一つだけだったが、ぴゅうッーぴゅうんっ――と小銃の弾丸が、幾つも、屋形をかすめたり、近い水面に落ちて、飛沫をあげた。
「なんじゃあっ?」
斧四郎が、首を出しかけると、
「あぶない」
露八は、鬘をかぶって、大きな体をあわてて舷へ出した。そして、永代橋の上を振り仰いだ。橋の上には、奥州街道の埃を浴びて江戸へ入って来た何藩かの軍隊が、四、五百名ほども、一鼓六足の歩調で、東から西へと渡りかけていた。
三
羅紗ズボンだの、陣羽織だの、足軽笠だの、そして、荷駄や馬の首の流れて行く行列の上に、銃と槍と、旗差物が、燦々していた。
「会津兵だ」
露八が、呟くと、艫の蔭で顫きながら、船頭が云った。
「そうだ、会津の松平容保様が、京都の守護職になって、今日か明日、ご上洛という噂がある」
「その兵だろう。自分たちは、国事のため、これから生きるか死ぬかの仕事に就こうというのに――江戸の人間が――と腹が立って悪戯半分に撃ったのだ。