Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans
凛と澄ましきっているので、訊くのもなんだか憚られたが、
(何か深い理がある)
と、露八も無言のうちに覚っていた。で、後にして来た船の方を、つい、歩みながら二、三度振り向くと、
「見るんじゃありませんよ」
お菊ちゃんは、袖を引いて、たしなめた。
「なぜ?」
すかさず訊ねると、
「でも、他人様の秘密はね」
と、すこし首を傾げて云った。そして露八の袖口からそっと手を忍び入れて、
「温めてよ」
「冷たい手だなあ」
露八は、自分の乳の辺で、彼女の凍えた手をじっと温めてやった。
「――誰にだって秘密はあるものだし、あってもいいものじゃないの。え……露八さん」
「…………」
「私など、他人から見れば、倖せだと云うけれど、お養母さんが違うし、自分はいつ死ぬかわからない病身だし、笛なんぞを友達にしているのをみても、つまらない人間だということがわかるでしょう。……だから私にだって、秘密の一つぐらいはあってもいいと思っているのよ」
「…………」
「ね、露八さん」
「うむ」
「笛なぞ吹いていられないような女に私をしてくれない? ……」
「…………」
露八はつい後方にばかり気を奪られているのだった。