Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

Lisez 花も刀も (はなもかたなも) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 364 caractères · 178 écrans

Aozora Bunko

「済まなかった」

幹太郎の声は明るかった。

平八は不吉な予感に捕えられていたので、幹太郎の明るく力のある声を聞いてほっとした。幹太郎は微笑さえしていた。

「秋田のいったとおりだ」と、彼はすわりながら云った。

「菱川を逃がせば藩の面目にもかかわり、あとにいろいろ面倒が残る、よくやってくれた、と云って上機嫌だった」

「それだけか」

「うん、まあそうだ」

幹太郎はあいまいに言葉をそらした。

――なにかもっと具体的な話があったな。

そう思ったが、平八はそのことには触れず、坐り直して、「じつは」と話を戻した、「これは、私が単純に考えたことなんだが、どうだろう、御尊父が亡くなられたのを機会に、御家族をこちらへよんであげたらと思うのだが」

「それは無理だ」と、強く云って、幹太郎は自分で慌てた。赤くなりながらその意味を弁明した。

父が亡くなっても、残った田地で、田舎なら三人は食ってゆける。江戸は諸式が高いから、いまの自分の扶持では、とうてい満足な生活はさせてやれない。不自由だろうが、もう少しのあいだ田舎にいてもらうよりしかたがない、と云うのであった。

平八は不審そうな眼で彼を見まもった。