Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans

Aozora Bunko

「弟っ。これっ、面を見せい、その面を」

主殿は、昂奮している。その眼からは、市十郎の沈黙が、いかにも冷然たる姿に見え、主殿の激越な心の波を、いやが上にも昂めるのだった。

「忠右どのからのお使いに、何事かと来てみれば、あきれ返った仔細。いやもう、言語道断。……わ、わしは、御夫婦へも、お縫どのへも余りのことに、いつまでも、この面を上げ得なんだわいっ」

畳を打って、膝を、つめ寄せながら、

「家祖、忠教、忠政様このかた、まだかつて、おのれのような無恥、腑抜け、不所存者は、ひとりも出したことのない家だ。どうして、貴様のような極道者が、大岡家の血から出たことやらと、この兄は、無念でならぬ。……が、いかに大たわけでも、よもやなお恋々と、水茶屋の売女風情に、心を奪われておるわけではあるまい」

声を嚥み……声を落して……。

「さ、そこじゃ。そこのところは、この兄も、刀にかけておちかいする。さほどまでの弟とは思われませぬと――たった今、忠右どののお部屋での、お三名に申して来たのだ。……さ、察してもくれやい、弟。そう申すしか、この兄の立場があろうか。たとえここに、亡きお父上が御存命でおわそうともじゃ」