Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans

Aozora Bunko

市十郎は、首を垂れ、潸として、涙の流るるにまかせたまま、両手をかたく膝についていた。

「のう、弟。真実また、貴様の心もそうであろ。……ここに両三年、閉門以後の慎みと勉学ぶりは、兄もひそかに、よろこんでいたことだ。……もう、多くはいうまい。三年前のたまたまの一過失、咎めもすまい。……ただ、兄に一札書いて預けてくれい。貴様からお袖とやらへ宛てて、これ限りの縁ぞと書いた切れ状を」

「あ……兄上」

「まあ、まて」と、抑えて――「むごいことをするおれかい。まかせろ、おれにまかしておけ。たとえ伝来の家宝を売っても、女に手切れの金をつかわし、子どもの始末もつけてやる」

「そ、それがです、兄上」

「なんとした。まだ、未練か」

「未練は、ございませぬが……女が、承知してくれませぬ」

「ばか者っ」と、一喝して、

「だから書けというのじゃ、あいそづかしの切れ状を。――それを見せて、兄が切ってやる。もし、わからぬことを、女々しゅう申して、埒があかねば、最後の手もある」

「最後の手……と、仰っしゃるのは」

「貴様の一生には代えられぬ。ひいては、おととし、叔父五郎左衛門の不首尾にかさねて、またも、公儀の耳にまずい噂が聞えては、大岡十家の安危にもかかわろう。