Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

当世風の小半がヨウさんの持物である事を知った瞬間にはわたしは実をいえば意外な気がしないでもなかった。しかしその心持は小半が年に似ず当世風に似ず薗八の三味線も大分その流儀になっている事を知るに及んで直に取消されてしまった。

或晩いつもの如く稽古をすましてから勧められるまま座敷をかえてヨウさんと盃を交した。小半を始めいつも来るべきはずの芸者はいずれも歌舞伎座に土地の芸者のさらいがあるとやらで九時近くまで一人も姿を見せず、その晩はまた師匠までが少し風邪の気味だからと稽古をすますと直様車を頂戴して帰ってしまった。ヨウさんとわたしは女中に酌をさせながらかえって話に遠慮のいらぬのを幸江戸俗曲の音楽としての価値及びその現代社会に対する関係から将来の盛衰についてまで、互に思う処を論じ合った。三味線は言うまでもなく二世紀以前売色の巷に発生し既に完成し尽した繊弱悲哀なる芸術である。現代の社会に花柳界と称する前代売色の遺風がそのまま存在している間は三味線もまた永続すべき力があろう。三味線は浮世絵歌舞伎劇などと同じく現代一般の社会観道徳観を以て見るべき芸術ではない。生きた現代の声ではない。