Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

何となく胸騒ぎがして何処へという当もなく一生懸命に駈出し初めると、忽ち目の前に大きな橋が現われた。種彦は足にまかせて瞬時も早く橋を渡り過ぎようとすると、突然後から両方の袂をしっかりと押えて引止めるものがある。何者かと思って振返ると、心中でも仕損じた駈落者とおぼしく、橋際へ晒者になっている二人の男女があって、その両手は堅く縛められている処から一心に種彦の袂をば歯で啣えていたのであった。あまりの気味悪さに覚えず腰なる一刀を抜手も見せずに切放すと二つの首は脆くも空中に舞飛んで鞠の如くにころころと種彦の足許に転落ちる。その拍子にふと見れば、こはそも如何に男は間違う方なく若旦那柳絮、女はわが家に隠匿ったお園ではないか。しまった事をした。情ない事をした。許してくれと、種彦は地に跪ずいて落ちたる二つの首級を交々に抱上げ活ける人に物いう如く詫びていると、何時の間にやら、お園と思ったその首は幾年か昔己れが西丸のお小姓を勤めていた時、不義の密通をした奥女中なにがしの顔となり、また柳絮と思ったその首は幾年の昔堺町の楽屋新道辺で買馴染んだ男娼となっていた。再び恟りして二つの首級をハタと投出し唯茫然としてその場に佇立んでしまうと、いつの間に寄集って来たものか、菰を抱えた夜鷹の群が雲霞の如くに身のまわりを取巻いていて一斉に手を拍って