Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
竹格子の裏窓を明けると箕輪田圃から続いて小塚原の灯が見える河岸店の二階に、種員は昨日の午過から長き日を短く暮す床の内、引廻した屏風のかげに明六ツならぬ暮の鐘。敵娼の女が店を張りにと下りて行った隙を窺い薄暗い行燈の火影に頻と矢立の筆を噛みながら、折々は気味の悪い思出し笑いを漏しつつ一生懸命に何やら妙な文章を書きつづっていた。種員は草双紙類御法度のこの頃いよいよ小遣銭にも窮してしまったため国貞門下の或絵師と相談して、専ら御殿奉公の御女中衆が貸本屋の手によってのみ窃に購い求めるという秘密の文学の創作を思い立ったのであった。
早や大引とおぼしく、夜廻の金棒の音、降来る夕立のように五丁町を通過ぎる頃、屏風の端をそっと片寄せた敵娼の華魁、
「主ァ、まだ起きていなんしたのかい。おや何を書いていなます。何処ぞのお馴染へ上げる文でありんしょう。見せておくんなんし。」と立膝の長煙管に種員が大事の創作をば無造作に引寄せようとする。種員驚き、
「華魁、文じゃねぇ、悪く気を廻しなさんな。疑るなら今読んで聞かせやしょう。だがの、華魁。あんまり身を入れて聞きなさると、とんだ勤めの邪魔になりやす。