Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
夜昼ともに電話がかかって来て、飯を食う暇のない時には女は牛乳か鶏卵で腹をこしらえて出掛けることにしているのである。牛乳がわきかけた時、女は髪を直した上に襟白粉までつけ、鼻唄を唱いながら上って来て鏡台の前に坐り、
「あんた。おあがんなさい。昨夜おそく食べたから、わたし何もいらない。」
「そうか、お前の身体は全く不思議だな。よく食べずにいられるよ。」
「わたし子供の時から三度満足に御飯をたべた事は滅多にないわ。そのくせお酒も好きじゃなしお汁粉はいやだし……経済でいいじゃないの。」
「全くだ。煙草ものまないし……」と言ったまま、男は鏡に映る女の顔が化粧する手先の動くにつれて、忽ち別の人のように若くなるのを眺めていた。眼の縁の小皺と雀斑とが白粉で塗りつぶされ、血色のよくない唇が紅で色どられると、くくり顎の円顔は、眼がぱっちりしているので、一層晴れやかに見えて来るばかりか、どうやら洋装をさせても似合いそうなモダーンらしい顔立にも見られる。それに加えて肉付のしまった小づくりの身体は背後から見ると、撫肩のしなやかに、胴がくびれているだけ腰の下から立膝した腿のあたりの肉付が一層目に立って年増盛りの女の重くるしい誘惑を感じさせる。