Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
」
「旦那様が何とも仰有らないんだもの。」と小女は始めて気がつくと共に顔をふくらして行ってしまった。お千代は押入から夜具を取り下し、シーツを敷き延べてから、枕を取出そうとして、二ツとも同じような坊主枕の、いずれが男のものだか分らぬところから、
「旦那様、これはどちらが……。」と言いかけ、重吉が黙っているのを見て、急に気がつき、わるい事を言ったような気の毒な心持になって、すこし顔さえ赤くしながら、お千代は男のだか女のだか判明しない枕を取ってシーツの上に置こうと、両膝を畳の上につく。重吉はそれを待っていたように突然背後から抱きついた。
「いけません、あなた。」と案外低い声で言いながらお千代は重吉の手を振りほどこうと身をもがき、「およし遊ばせ。女中さんが来ます……。」
重吉は小女のことを言われて始めて気がついたらしく抱きすくめた手を緩めてお千代の顔を見た。お千代は怒って何か言うかあるいは畳を蹴って逃げ去るかと思いの外、「いけませんよ。おからかい遊ばしちゃア。こんどなさると大きな声を立てますから。」と言いながら重吉の寝衣らしいものを押入から取出して枕元に置き、夜具の裾へ廻って湯婆子を入れる。