Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
小日向水道町……覚えているでしょう。一日でも二日でも能御ざんす。暇を見てちょっと来て下さい。失礼だが、これはその時の車代に。」と言って、男は無理やりに五拾銭銀貨二、三枚をお千代に握らせ、振返りながら向側の横町へ曲った。
お千代はこの間から、質に入っている衣類の中で、どうしても流してしまいたくないと思うものがあるので、せめて利子の幾分でも入れて置きたいと思案に暮れていた。その矢先、偶然思掛ない人に呼留められて、車賃まで渡されて見ると、訪ねて行きさえすれば少し位の都合はしてもらえないはずはないという事を考えない訳には行かなかった。丁度その日重吉は新聞に出ていた外交員募集の広告を見て外出したまま夕飯時を過ぎても帰って来なかったので、お千代は膳拵えだけをして階下の人に伝言を頼み、ふらふらと小日向水道町へ出かけた。帰って来たのは夜も十時過ぎであったが、重吉の帰りはそれよりなお半時間も遅かったので、この晩のことはそれなり秘密に葬られてしまった。
或日お千代は重吉の出て行った後、二階の窓へ寝衣や何かを干していると、往来から女の声で、「奥さん。中島さんの奥さん。