Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

」

お千代は既にその身の秘密を知られているのではないかという気がして、いっそ一思いに打明けてしまおうかとも思いながら、さて言出すべき最初の言葉がわからないので、掛けてある土瓶を卸して起りかけた炭火をまた直し始める。

「この金で何か食おうじゃないか。今夜はふだんと違うからまだ起きているだろう。阪まで行けばおでん屋が起きてるだろう。いやか。くたぶれたか。」

「いいえ。」

「じゃア行こうよ。今年はいやに暖いじゃないか。また地震かも知れないぜ。」

「昨日なんか驟雨が来たわねえ。」

お千代は重吉が何か思うところがあって外へ連れ出すのではないかと、こわごわながらも用心して一緒に外へ出た。

少し風が吹きはじめたが、薄い霧が下りているので、見渡す夜深の街の蒼く静にかすんださまは夏の夜明けのようで、淡くおぼろな星の光も冬とは思われない。起きている家は一軒もないが、まだ杜絶えない人通りは牛込見附の近くなるに従っていよいよ賑になる。二人の歩いて行く先に、同じような二人連があって、その話声の中から早番だの晩番だのという言葉が漏れ聞える。重吉は思出したように、

「お千代。お前の店は正月はどうするんだ。