Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

元日は休みか。」

「さア、まだ聞いて見ないから。」

「三ヶ日は骨休みをした方がいいぜ。バアへ行き始めてからもう三月だ。一日も休まないからな。」

お千代はまた返事にこまった。どうして今夜にかぎって、重吉は返事に困るようなことばかり言出すのだろう。知っていながら知らない風をして自分を困らせ、それをせめての腹いせにするのではないかという気もする。

「わたし、一度どうしても家へ行かなければならない事があるんです。明日にでも行こうかと思っているんです。」とお千代は静に言出した。

「家ッて。船堀の家か。」

「ええ。母さんが死んでから一度も行きませんから。」

「お千代、お前、もう帰って来ないつもりだろう。そんならそうとはっきり言ってくれ。」と重吉は声を高めたが、先へ行く二人連に気がついて立ち止る途端、「あら、誰か」という声と共に接吻するらしい音が聞えた。

「だって、わたし……。」とお千代は足を引摺るように歩きながら、殆ど聞えないような声で、「わたし、済まないことをしちゃったから……。」

「それで、お前、別れようというのか。」

「だって、あなた。堪忍しないでしょう。」

「堪忍しなければ、今まで黙っていやしない。