Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

得念最早や敵はずと思ひ候にや、忽大声にて人殺しだ。泥棒だと呼続け候故、愚僧も狼狽の余り、力一杯得念が咽喉を締め候に、そのまゝぐたりと相なり、如何ほど介抱致候ても息を吹返す様子も相見え申さず候故、今は如何とも致しがたく、幸闇夜にて人通なきこそ天の佑と得念が死骸を池の中へ蹴落し、そつと同所を立去り戸田様御屋敷前を通り過ぎ、麻布今井谷湖雲寺門前に出で申候処、当時はまだ御改革以前の事とて長垂阪上の女郎屋いたって繁昌の折から、木戸前を通りかゝり呼び込まれ候まゝ、こゝに一夜を明し申候。誠に人間一生の浮沈は測りがたきものなり。偶然大金を拾ひ候ばかりに人殺の大罪を犯す身となり果候上は、最早や如何ほど後悔致候ても及びもつかぬ仕儀にて、今は自首致して御仕置を受け申すべきか。さらずば、運を天に任せて逃げられ候処まで逃げ申すかの二ツより外に道は無之候。今更懐中の金子を道に棄て行き候とも、人殺の罪は免れぬ処と、夜中まんじりとも致さず案じ累ひ候末、とにかく一先何地へなり姿を隠し、様子を窺ひ候上、覚悟相定め申べしと存じ、翌朝麻布の娼家を立出で、渋谷村羽根沢の在所に、以前愚僧が乳母にて有之候お蔦と申す老婆。