Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

まゝならず、二、三間登り候処にて片足を滑らせ、そのまゝ瞠とばかり地上に堕ち申候。静なる夜にて有之候はゞ、この物音に人々起出で参り大騒ぎにも相なるべきの処、幸にも風大分烈しく吹いで候折とて、誰一人心付き候者も無之。愚僧は地上に落ち候まゝ、殆ど気絶も致さむばかりにて、漸く起直り候ものゝ、烈しく腰を打ち、その上片足を挫き、四ツ這になりて人知れず寝所へ戻り候仕末。その夜は医者を呼び迎へ候事も叶ひ申さず。翌朝に至るを待ち始て療治を受け申候。それより時候の変目ごとに打身に相悩み候やうに相なり、最早や二度とはかの大木には登れそうにもなき身に相なり申候。左候得者、樹上の大金は再び手にすることも出来兼候訳なり。人に頼めばわが身のむかしを怪しまるゝ虞有之。かの五拾両は樹上に有之候とも、最早やわが身には生涯何のやくにも立たざる物になり候よと思へば、満身の気力一時に抜落ち候やうなる心地致され、唯惘然として榎の梢を眺め暮すばかりにて有之候。今までは一向気にも留めざりし鴉の鳴声も、かの大木の梢に聞付け候時は、和尚奴、ざま見ろ。いゝ気味だと嘲弄致すものゝやうに聞きなされ、秋蝉の鳴きしきる声は、惜しよ惜しよ。