Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

時々は遠からぬ新宿へなりと人知れず遊びに出掛けたき心持にも相なり候へども、これまた同様にて埒明き申さず。空しく門前の大木を打仰ぎ候て、幹の穴に五拾両有之候上は、時節到来の砌は、如何なる浮世の楽しみも思ひのまゝなる身の上。別に急ぎ候には及ばぬ事と我慢致し月日を送り申候。人間の慾心は可笑しきものにて、いつにても思ひのまゝになると安心致をり候時は、案外我慢の出来るものにて有之候。唯心にかゝり候事は、風雨雷鳴の時にて、門前の大木万一風にて打折らるゝか、または落雷に砕かれ候て隠置候大金、木の葉の如く地上に墜ち来り候やうの事有之候ては一大事なりと、天気宜しからざる折には夜中にも時折起出で、書院の窓を明け、大木の梢を眺め候事も度々にて有之候。とかくする中、数れば今より十余年ほど前の事に相なり候。彼岸も過ぎて、野も山も花盛りに相なり候頃、白昼俄に風雨吹起り、近村へ落雷十余箇処にも及び候事有之。当山門内の大榎は、幸にも無事にて有之候ひしかど、その後両三日は引続き空曇りて晴れ申さず。また/\嵐来り申すべくなど人々申をり候を聞き、愚僧心痛一方ならず。深夜そつと起き出で、大金を取出し置かむものと、大木の幹に登りかけ候処、血気の頃には猿の如くする/\と攀昇り候その樹の幹には変りはなけれども、既に初老を過ぎ候身は、いつか手足思ひの