Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate

Aozora Bunko

四

の太い線を描いて見せなければ、兵法者として一人前に生きた者とはいわれないのである。

武蔵は、身ぶるいして、

「おれは勝つ!」

声を出して、神林をさけびながら歩き出した。

五十鈴川の上流へ向って――

磊々と重なっている岩のあいだを、彼は、原始人のように、這いすすんで行くのだった。斧を入れた例しのない太古の渓谷林には、音のしない滝がかかっていた。滝水も皆、氷柱になって凍っているのである。

四

いったい、どこへ、何を目的にして、武蔵はそんな努力を賭して行くのか。

裸で、神泉に浴した罰があたって、ほんとに気でも狂ったのではなかろうか。

「何を。何を」

鬼のような血相なのである。岩に攀じ、藤づるにつかまって、巨岩大石を、足の下に征服してゆく一歩一歩の努力というものは、到底、生やさしい意志でやれる仕事でない。それに大なる目的がかかっていなければ、正気の沙汰ということはできない。

五十鈴川の一之瀬から、約十五、六町の渓谷は、鮎すらも上れないといわれている岩石と奔湍である。それから先は、猿か天狗のほかは、行けそうもない断崖だった。

「ウム、あれだな鷲嶺は」

彼の精神状態のまえには、不可能という壁は見えないらしい。