Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
六
「甲賀谷の方へ?」
「そうです、だが、甲賀谷へ抜けようが、土山を越えて水口へ出ようが、石部の宿場まで行きゃあ道はみな一つになるから、早く野洲川で手配しておけば、野郎はきっと捕まるはずだ」
遠方からのそういう声を、耳の裏で聞きながら、梅軒の眼は、眼の光で縛りつけているように、自分の前に立ち竦んでいるお通を睨みつづけていた。
「おウいっ、てめえ達も、ちょっとここへ降りて来い」
「降りて行くんですか」
「はやく来い」
「でも、愚図愚図しているうちに、武蔵のやつが、野洲川を通ってしまうと」
「いいから、降りて来い」
「へい」
梅軒と共にゆうべ無駄骨を折った彼の手輩なのである。山歩きには馴れきっているとみえ、猪のように真っ直に傾斜を駈け下りて来て、お通の姿に、そこで初めて気づいたらしく眼を見あわせた。
梅軒は早口にわけを話して、三人の手したにお通をあずけ、後から野洲川へ曳ッぱって来るように命じた。手下どもは合点して、お通のからだへ縄をまわしたが、縛るには痛々しい気もするらしく、頻りと、彼女のうつ向いている蒼白な横顔を、さもしい眼で偸み見ている。
「いいか、てめえ達も、おくれちゃならねえぞ」