Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate

Aozora Bunko

三

三

又八はなんと罵っても、相手の虚無僧がそれきりぐうの音も出さないので、彼もようよう気を鎮めて見直すとどうしたことか、虚無僧は縁板に顔を沈めて泣いている――

「こん畜生、金を見たら急に哀れっぽいふうを見せやがって」

と、又八は毒づいたが、そうまで、恥かしめられても、虚無僧はもう先の勢いはどこへやら、

「あさましい。アア、あさましい。どうしておれはこう馬鹿なのか」

もう又八へ対していっているのではない、ひとりで悶え悲しんでいるのだ。その自省心の烈しいことも、常人とは変っていて、

「この馬鹿、貴さまは一体、幾歳になるのか。こんなにまで、世の中から落伍して、落魄れ果てた目をみながら、まだ醒めないのか、性なしめ」

そばの黒い柱へ向って、自分の頭をごつんごつん打つけては泣き、打つけては泣き、

「何のために、汝は尺八をふいているか。愚痴、邪慾、迷妄、我執、煩悩のすべてを六孔から吐き捨てるためではないか。――それを何事だ、冷飯と酒のあまりで、生命がけの喧嘩をするとは。しかも息子のような年下の若者と」

ふしぎな男だ。そういって口惜しげにベソを掻くかと思うと、また、自分の頭を、柱に向って叩きつけ、その頭が二つに割れてしまわないうちは止めそうもないのである。