Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
七
よく見ると、針は、着物の襟や袂に、霜ばしらのように刺さっていて、きらきらと光るのが、四本も五本もすぐ眼にとまった。
七
「あ……これだ」
その一本の針を抜いて、武蔵はつぶさに検めてみた。針の寸法は、ふつうの縫針と変らないし、太さも同様な物であるが、この針には、糸をとおす針穴がない。そしてまた、針の身にも丸みがなくて、三角であった。
「おばば奴」
武蔵は、河原をのぞいて、こう慄然とつぶやいた。
「これは、話に聞いたことのある吹針というものではないか。あのおばばに、こんな隠し業があろうとは夢にも思わなかったが。……ああ、危ういことだった」
彼は、好奇心とつよい知識慾に燃えて、その針を一つ一つ手に納め、改めて、自分の襟の中へ、抜けないように刺し込んだ。
他日の研究の資料とするつもりなのであろう。彼のまだ狭い体験の範囲で聞いているところによると、一般の兵法者のあいだでも、吹針という技術があるという説と、ないと主張する説とがわかれていた。
あるという説をとる者の弁によると、それは非常に古い伝統を持っている一種の護身術で、漢土から帰化した織部の機女や縫工女たちが、戯れにしていた技法が進んで、武術にまで利用されるようになり、独立した武器とはならないが、攻撃法の前の奇手として、足利時代にまで、吹針というものは、たしかに用いられ