Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate

Aozora Bunko

三

だが恐らくは、百年待っても覚つかないことじゃろう。思えば、嘆かわしい」

「嘆かわしい子なら持っていても仕方があるまい。おれから去ってやる」

憤然と、又八は立った。そして、ぷいと大股に彼方へ歩き出して行くのだった。

婆は、あわてて、

「こ、これっ」

と、ふるえ声で呼び止めたが又八は振り向かなかった。――止めてくれてもよさそうな権叔父はまた権叔父で、何を暢気な顔して見ているのか、海のほうに向って、じっと、大きな眼をすえたきり動かない。

そこで、婆は、いちど上げた腰を床几にもどして、

「権叔父っ、止めるでない。止めるでないぞよっ」

三

その声に、

「婆」

権叔父は答えて振り向いたが、いうことは、隠居の期待とちがっていた。

「あの女子、なんとも、いぶかしいわ、ちょっと、待ってくれい」

いうが早いか、権叔父は、蛤茶屋の軒先へ笠を抛って、まるで弦から放たれたように、海へ向って駈け出して行った。

隠居は、おどろいて、

「阿呆っ、どこへおじゃるッ、それところじゃないわ! 又八がっ――」

と、彼につづいて十間ほど駈けて行ったが、磯の藻草に足をからまれて、勢いよく前へ転んだ。

「ば、ばかっ」