Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
二
「栗鼠じゃろ」
と見廻して、
「栗鼠のやつめが、よう食い物を嗅いで来おるでな。……だが、どこにも、何もいはせぬが?」
朱実は、そうっと顔をあげ、
「あれっ、そこに」
「どこに」
浮き腰を巡らして丹左がふとうしろを見ると、なるほど一匹の動物が、仏具も本尊仏もない内陣の欄のうちに、ちょこなんと乗って、丹左の眼が向くと、びくとしたように尻をすくめる。
栗鼠ではない、小猿なのだ。
「……?」
丹左が不審顔すると、小猿は、この人間くみしやすしと見てとったか、内陣の朱の欄をするすると二、三度往復をしてからまた、元のところへ坐って、毛の生えた桃に似ている面がまえをケロリと上げ、パチパチ眼ばたきをしながら何か物でもいいたげな風情。
「こいつ……どこから入って来たのじゃろう、……ははあ、だいぶ飯つぶがこぼれていると思うたら、さては」
さては、ということばが、わかるように、小猿は彼が近づく先に逃げ出して、内陣の裡へぴょんと隠れてしまう。
「……はははは、とんだ愛嬌者じゃわ、たべ物でもくれてやれば、悪戯はすまい。放っとこう」
膝の白い粉をはたいて、鍋のまえに坐り直しながら、
「朱実、なにも怖いことはない。