Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
――じゃあ預かっておくぜ」
持ち金のほとんどあらましを、彼に手渡してしまうと、又八はやや不安をよび起して、歩み出した八十馬に追いすがり、
「うまく頼むぞ」
「大丈夫だ。先で、渋った顔をしていたら、金をやらずに持って帰るだけのことじゃないか。何も、兼相だけが、大坂方の勢力家じゃなし、大野でも後藤でも、頼みこむ思案はいくらもある」
「返辞は、いつ分るか」
「そうだな、ここで、待っていてくれてもいいが、濠ばたの吹きさらしに、立っているわけにもゆくまいし、また、怪しまれるから、明日会おう」
「明日――どこで」
「人寄せの懸っているれいの空地へ行ってくれ」
「承知した」
「貴公と初めて会った、あの酒売りのおやじの床几で、待っていてくれれば間違いない」
時刻も打合せて、赤壁八十馬は、そこの門内へ、大手を振って入って行った。肩を振って、堂々と通ってゆく態度を見とどけて、
(あれなら、なるほど、薄田兼相とは、貧困時代からの旧友だろう)
又八は、安心に似た気もちを抱いて、その晩は、さまざまな夢に耽り、あくる日を待ちかねて、定めの時刻に、人寄せ場の空地へ、霜解けをふんで行った。
きょうも師走の風が寒かったが、冬日の下にはたくさん集まっていた。