Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate

Aozora Bunko

六

このまま逃げるにおいては、京八流の吉岡を天下に笑ってやるがよいか」

笑ってやるぞということばは、侍が侍に投げる場合の最大の侮辱なのだ。唾以上の恥かしめなのだ。――だがもう逃げてゆく者の耳へはそれもこたえない。

その頃ちょうど毛馬堤を、寒々と、馬の鈴が鳴って来た。霜明りと淀の水明りは、提灯も必要としないほどだった。馬上の人影も、馬の尻について来る徒歩の人影も、白い息を吐いて、寒さを忘れていたかのように先を急いでいる様子である。

「あっ」

「御免っ」

追われて来た三名は、馬の鼻づらへ打つかりそうになって、きりきり舞をしながら後ろを振向いた。

六

あわてて手綱を絞ったので、馬は足掻きしていなないた。馬上の者は、馬の前で戸惑いしている三名をのぞいて、

「やっ、門下ども」

意外な顔したが、すぐ腹をたてて、叱りつけた。

「たわけめ、どこに終日うろついていたのだっ」

「ア、若先生ですか」

するとまた、馬の陰から前へ出て来た植田良平が、

「何事だその態は。若先生のお供をして来ながら、若先生が帰るのも知らず、また、酒の上の喧嘩か。馬鹿もいい加減にして歩け」

いつものでんでまた酒の上の喧嘩かと見られたのでは堪らない。