Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
ただどこかで先程から、こーん、こーん、と凍っている夜空にひびく砧の音がある。それを的てに二人は歩いて、ようやく一つの明りを見た。
さらに欣しかったことには、その砧の音のしている家が、百姓鍛冶の梅軒の家だった。軒に古金がたくさん積んであるのでもわかったし、真っ黒にいぶっている廂は、どうあっても鍛冶屋の家でなければならない。
「訪れてくれ」
「へい」
馬子が先に戸を開けて入って行った。中は広い土間であった。仕事はしていないが鞴の囲いには赤い火が燃えさかっていた。そして、一人の女房が焔に背を向けて夜業に布を打っているのだった。
「こん晩は、ごめんなすって。――アア火だ、これはたまらぬ」
見知らない男が入って来て、いきなり鞴のそばの火にしがみついたので、女房は砧の手を止め、
「どこの衆だえ、おめえは」
「へい、今話しますよ。……実はお内儀、おめえ様のうちの旦那を遠方から尋ねて来たお客を乗せて今着いたのじゃ。わしは桑名の馬子だがね」
「ヘエ? ……」
女房は武蔵のすがたを無愛想に見上げた。ちょっと、小うるさい眉をして見せたのは、ここへも屡やってくる武者修行が多いのだろう。