Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
……さ、おだまり、涙をお拭き。おまえも妙齢となったから、月を見ても花を見ても、泣きたくなるものとみえる。おまえくらいな妙齢は、羨ましいものだなあ」
「……なにを仰っしゃいます。そんな浮いた心で、貂蝉は悲しんでいるのではございません」
「では、なんで泣いていたのか」
「大人がお可哀そうでならないから……つい泣いてしまったのです」
「わしが可哀そうで……?」
「ほんとに、お可哀そうだと思います」
「おまえに……おまえのような女子にも、それが分るか」
「分らないでどうしましょう……。そのおやつれよう。お髪も……めっきり白くなって」
「むむう」
王允も、ほろりと、涙をながした。――泣くのをなだめていた彼のほうが、滂沱として、止まらない涙に当惑した。
「なにをいう。そ……そんなことはないよ。おまえの取りこし苦労じゃよ」
「いいえ、おかくしなさいますな。嬰児の時から、大人のお家に養われてきた私です。この頃の朝夕のご様子、いつも笑ったことのないお顔……。そして時折、ふかい嘆息を遊ばします。……もし」
貂蝉は、彼の老いたる手に、瞼を押しあてて云った。
「賤しい楽女のわたくし、お疑い遊ばすのも当り前でございますが、どうか、お胸の悩みを、打明けて下さいまし。