Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
いくらお杉隠居が呼んでも、ふたたびその眼は開かなかった。
手をつくした漁師たちも、
「この老人のほうは駄目だ」
と、さじを投げた。
そう聞くと、隠居はもう涙を見せなかった。せっかく、親切にしてくれる人々へ、
「何がだめじゃ! 一方の女子が息をふき返したのに、この者ばかり生きぬという法があろうか」
食ッてかかるような権まくで、手を出している者たちを突き退け、
「この婆が活かして見せるわ」
と、必死になって、あらゆる手当を施すのだった。
その一心不乱な様子は、見るも涙ぐましい程であったが、そこらに居合わす者を、まるで雇人か何ぞのように、やれ押し方が悪いの、そうしては効がないの、火を焚けの薬を取って来いのと、権突くと顎の先で使うので、縁もゆかりもない浜の者たちは腹を立てて、
「なんだ、このくそ婆」
「死んだ者と、気絶した者とはちがうのだ、活かせるものなら活かしてみろ」
呟きあって、いつの間にか、皆ちりぢりにそこを去ってしまった。
浜べはもう暮れかかる、うす靄の沖に、橙色の雲がわずかに夕明りを流していた。婆はまだ思い諦めようとしない。そこに火を焚いて、焚火のそばへ権叔父を抱き寄せ、