Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
凄い面がまえにも似もやらず、捕まえた餌物をむしろ嬲るかのように気が長いのである。
「――泣くことはないじゃないか。何も、泣くことは」
そんなことを、耳へ唇をつけていってみたり、
「娘やは、男を知らないのか、嘘だろう、もうおめえぐらいな年頃で……」
朱実は、いつぞやの吉岡清十郎を思いだした。その時の苦しかった呼吸が考え出された。でも、あの時とは比較にならないほど、心のどこかに落着いたものがある。……あの時のせつなこそは、部屋のまわりの障子の桟も見えない心地がしたほどだったが――。
「待ってくださいッてば!」
蝸牛のようになったまま、朱実はいった。なんの意もなくいったのである。病後の体が火みたいだった。その熱すら、八十馬は病気の熱とは思っていない。
「待ってくれって? ……よしよし、待ってやるとも。……だが、逃げるとこんどは手荒になるぜ」
「――ちいッ」
肩をつよく振って、八十馬の執拗な手をふり退けた。やっと少し離れた彼の顔を、睨めつけながら起ち上がって、
「――何するんですっ」
「わかってるじゃねえか」
「女と思って、ばかにすると、わたしにだって、女のたましいというものがあるんだから……」