Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate

Aozora Bunko

一曲終ると、

「ああ」

虚無僧は、ここは野中の一軒家と、安心しきっているらしく独り言に――

「四十不惑というが、おれは四十を七つも越えてからあんな失策をやって、禄を離れ家名をつぶし、剰え独りの子まで他国へ流浪させてしまった。……考えれば慚愧にたえない。死んだ妻にも生きている子にも会わせる顔がない。……このおれなどの例を見ると、四十不惑などというのは聖人のことで、凡夫の四十だいほど危ないものはない。油断のならない山坂だ。まして女に関しては」

胡坐の前に、尺八を縦に突き、その歌口へ両手をかさねて、

「二十だい、三十だいの年でも、由来おれは、やたらに女のことで失敗をやって来たが、そのころにはどんな醜聞をさらしても、人も許してくれたし、生涯の怪我にもならなかった。……ところが、四十だいとなると、女に対してすることが厚顔ましくもなるし、それがお通の場合のような事件になると、今度は世間がゆるさない。そして、致命的な外聞になってしまった。禄も家もわが子にも離れるような失敗になってしまった。……そして、この失敗も、二十だい三十だいなら取り返せるが、四十だいの失敗は二度と芽を出すことがむずかしい」