Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
よほど、気をつけてあげようかと思ったが、あとの祟りが恐いし、おまえ様も、あの風態を見れば、気がつくだろうと思っていたのに、金を抜かれてしまうなんて……。これやお話にならんわい」
気の毒を通り越して、又八の無智をむしろ愍れむような口吻なのである。だが又八は、恥を掻いたとは思わない。突然の損失と希望から抛り出された傷手に、身がふるえ、血が憤って、茫然と、空地の人群れを見つめていた。
「むだとは思うが、念のため幻術の囲いへ行って訊いてみなさるがよい。あそこではよく、ガチャ蠅が集まって、銭の賭事をしておりますで、そういう金をつかめば、ことによると、賭場へ顔を出しているかもわかりませぬ」
「そ、そうか」
又八は、あわてて床几を起ち、
「その幻術の人寄せというのは、どこの囲いか」
老爺の指さすほうを見ると、この空地のうちでは最も大きな矢来が一つ見える。幻術者の群れが興行しているのだという。見物は、木戸口に蝟集していた。又八が近づいて行ってみると、
「ちょちょんがちょっ平」
だとか、
「変兵童子」
とか、
「果心居士之一弟子」
とかいう有名な幻術師の名が、木戸口の旗に記してあって、幕と筵でかこんであるその広い矢来のうちでは、怪しげな音楽に交じって、術者の掛声と、見物の拍手が湧いていた。