Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate

Aozora Bunko

「なんだと」

又八が、くわっとして刀の柄を示すと、これは面白いと、相手は敢て喧嘩を買ってくる腰だった。

「べら棒め、そんな脅しに、いちいちびくついていちゃ、この大坂表で、生きちゃあいられねえんだ。さ、斬るなら斬ってみろ」

「き! 斬るぞ」

「斬れっ、何も、断るにゃ及ばねえや」

「おれを知らんか」

「知ってるもんか」

「越前宇坂之庄、浄教寺村の流祖、富田五郎左衛門が歿後の門人佐々木小次郎とはわしのことだ」

そういったら逃げるだろうと思いのほか、相手は、ふき出して、又八のほうへ尻を向け、矢来のうちのガチャ蠅を呼び立てた。

「やい、みんな来い、こいつ何とか今、オツな名乗りをあげやがったぜ。おれたちを相手に抜く気らしい。ひとつお腕のうちを見物としようじゃねえか」

いい終ると、きゃッと、その男は尻を斬られて跳び上がった。又八が、不意に抜き打ちをくれたのである。

「畜生っ」

という声。それから、わっと大勢の声がうしろに聞えた。又八は血刀をさげて人混みの中へまぎれ込んだ。

なるべく人間の多いところへと又八は姿をかくして歩いていたが、危険を感じるほど、どの人間の顔もガチャ蠅に見え、とてもうろついておられなくなった。