후리가나로 읽는 일본 고전
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おうべいかっこく せいきょうにっき
井上円了・世界旅行記
井上 円了
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 260,015자 · 519화면
一六、ボンベイを発し、スエズに向かう
これに加うるに、旧習を重んずる風ありて、社会の発達はほとんど絶望のありさまなり。しかしてこのカースト制も守旧風も、みな宗教より起こりしものなれば、インドの宗教の余毒は、よく人を愚かにし、国をほろぼすに至れりといわざるべからず。もし人民の惰弱なる点につきては、気候の影響最も多かるべし。かくのごときは、たれびともみな想像し得るところなれば、余が喋々を要せざるなり。ただ余はこの一事につきて、日本の宗教も、今後は国家的主義と進取的方針とをとるの急要を感ずるなり。
余、インドの実況を見て、左のごとく所感を述ぶ。
まゝ親の下で苦む印度人
孤児が親ある国を恋しがる
ものいはぬ口まで寒し旅の風
旅の雨我真心を固めけり
一六、ボンベイを発し、スエズに向かう
三十六年一月三日、ボンベイ港を発し、これよりインド洋に入る。四日(日曜)、五日、六日、風清く波穏やかなり。かつ毎日天遠く晴れ、毎夜月高く懸かり、洋中の風光また一段の妙あり。七日夜、はじめて陸端を認む。すなわちアラビアなり。翌朝夢さむれば、船はすでにアデン港内にあり。ボンベイよりアデンまで、海路一千六百五十海里余なりという。