후리가나로 읽는 일본 고전
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おうべいかっこく せいきょうにっき
井上円了・世界旅行記
井上 円了
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 260,015자 · 519화면
一五、メルボルン市の実況
二百トンの小艇なり。海上風なく波平らかにして、春海のごとし。ほかの汽船と並行して南走す。
五月七日(日曜)、曇り。暁天、虹影を見る。風ようやく寒く、天まさに雨ふらんとす。一帯の連山を右岸に望む。これ、すでにビクトリア州なり。午後、降雨あり。今夕、船医秋洲氏の好意により、牛鍋会を催す。一酔の後、戯れに「ヤギと聞き羊ならんと思ひしが、日光丸の大船長」の狂歌を船長に贈り、
日光船内有二名医一、吾始遇レ君如二旧知一、濠気堂堂誰得レ敵、秋津洲裏一男児。
(日光丸の船内には名医がいて、私ははじめて会ったのに旧知の人の思いがした。豪気の持ち主で堂々としてだれもかなわない。日本国の一男児である。)
の狂詩を船医に贈り、もって告別の辞に代う。
一五、メルボルン市の実況
八日、曇りのち晴れ。午前十時、ビクトリア州の首府メルボルン市に入港す。シドニーよりここに至る海路、五百七十七マイルあり。さらに小河をさかのぼること数マイルにして、市の中央に着岸す。横浜よりこの港まで七千四十一マイルありという。秋洲船医およびウィルキンソン氏の紹介により、フィッツロイ公園の傍らに寓居を定む。メルボルンの気候はシドニーよりいくぶんか冷気の加わりたるがごときも、朝夕冬服、昼間夏服の気候にして、わが十月はじめごろに似たり。