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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
春雪写山行「旅」1940(昭和15)年4月<br>黒部川峡谷の話「山岳 第十二年第一号」1918(大正7)年2月<br>枯木の美と怪「国立公園」1952(昭和27)年3月<br>雪山と廃道「山 二巻二号」1935(昭和10)年2月<br>七面山冬ごもりの記「山小屋」1947(昭和22)年<br>黒部川初遡行の追憶「山と渓谷」1939(昭和14)年7月<br>大雪山あれこれ「国立公園」1955(昭和30)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 页
どこまでも追求してやまぬ、立派な性情を持っていることは確かだろう。元来俺たちは、生物の一種として、それが最高の進化をとげた人類に対しては、強い敬意と信頼を抱いて来たものだし、又ますますそれを強めて行きたいのだ。
特に彼らの知能の働きこそは、まったくめざましい限りで、それは近年よくこの辺にも姿を現わす飛行機を見てもわかることだ。さすが空をわが物顔の狗鷲大王も、これにはすっかりド胆をぬかれて、首をちぢめている笑止さ。しかし、あれほど利口な人間が、どうして戦争や共喰いを、今もってやめようとはしないのだろう。それを思うと、俺は心外でたまらない……。日本人はまた、昔から、自然を愛好する民族と言われ、実際その方面で立派な業績を残していることは、俺などでもおぼろ気ながら承知している。万葉の歌人や芭蕉という大詩人の事など、いろいろ故松に教えられた覚えがある。それだけに、近年の彼らには、しばしば幻滅を感じもすれば、何かと苦言を呈したくもなろうというものだ。
ところで、人間と俺たちとは、万事がいわば月とすっぽんで、何か無縁の存在のように見なされがちだが、果してそんなものだろうか。