轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

春雪写山行「旅」1940(昭和15)年4月<br>黒部川峡谷の話「山岳 第十二年第一号」1918(大正7)年2月<br>枯木の美と怪「国立公園」1952(昭和27)年3月<br>雪山と廃道「山 二巻二号」1935(昭和10)年2月<br>七面山冬ごもりの記「山小屋」1947(昭和22)年<br>黒部川初遡行の追憶「山と渓谷」1939(昭和14)年7月<br>大雪山あれこれ「国立公園」1955(昭和30)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 页

青空文庫

七 日もどり

一緒にいい日和りを祝わうよ……頭をなでたい気持ちだ。時にはギァーと、ガッチ(かけす)も声をかけてくる。

しかし午頃から、刷いたような巻雲が、中天を南から北へ去来し、赤石は大井川の吐く横雲を帯び、空色ようやく冴えを失って、赤石沢の奥から雲の大塊が山の半面に掩いかかった時には、いよいよ天気も崩れるのではないか、と胸を騒がせたけれど、雲はそのまま蔓こりもせず、かえっていつの間にか痕もなく溶け去って、又おだやかな夕暮が迎えられた。

夜の空は清く晴れ、月の出が遅くなったので、星の光りが飛び出すように強い。大きな織女は見上げる前山の梢の中から、刺すように冷たい青光を放ち、千挺木の尾の上高くカシオペアが屈曲し、カペラらしい大星は徐々に山の端から生まれて、光を弾き出すように震えながら昇ってくる。そして峠の上には、昴の小星群が螢籠を吊したように、脉を打ってきらめいている。

夜半ふと眼をさますと、屋根板のやぶれから月光が、堅い金属の棒や板のさまに射しこんでいた。

七 日もどり

未明に起き出ると、今日もまた月光がみなぎっている。そして仰いでハッとした。三分ほど欠けた、たしか十九日の月が、まるで大きな眼のようなのだ。