轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

春雪写山行「旅」1940(昭和15)年4月<br>黒部川峡谷の話「山岳 第十二年第一号」1918(大正7)年2月<br>枯木の美と怪「国立公園」1952(昭和27)年3月<br>雪山と廃道「山 二巻二号」1935(昭和10)年2月<br>七面山冬ごもりの記「山小屋」1947(昭和22)年<br>黒部川初遡行の追憶「山と渓谷」1939(昭和14)年7月<br>大雪山あれこれ「国立公園」1955(昭和30)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 页

青空文庫

すなわち、槍ガ岳の西裏に当り、蒲田川左俣の奥に横たわる、小高原がそれだ。双六から笠への縦走路、その途上の一峯、弓折から見おろすと、東方へ派出する側尾根が、南へ折れるあたり、ゆるやかな緑の背に、幾つもの池を点々とちりばめた、いかにも神仙譚的な、その風姿を望見することが出来る。ただし谷間の霧のひと刷毛にも、それは夢のように、かき消されてしまうだろう。

ここの事を、私が初めて聞いたのは、一昨三十一年八月の末、双六小屋の炉ばたで主じ小池義清さんの弟で猟師の義蔵さんが、――面白い所がある、と話してくれた時だ。先年新道を作る際、甥の義人君と二人、偶然迷い込んだことがあるだけで、地元の人もだれ一人知らぬという。そして、池がたくさんあって、それに大槍小槍がうつる……など、大いに私を刺激する話ばかりだ。私はすぐにも行って見たいと思ったが、どっこい、そうは行かぬ、東京で山の話をする約束の日が迫っていて、まったく余裕がない。私は遠望に止めて、楽しみを胸に、帰京した。

そして、昨年夏は双六小屋に滞在して、黒部の源流などに遊び、八月下旬に待望のこの処女地を訪ねた。義蔵さん義人君たちの案内で、弓折から下って行ったが、路はまったく無い。