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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页
九 神隠しに遭いやすき気質あるかと思うこと
人が捜している声も姿もはっきりとわかるが、こちらからは物を言うことができぬ。洞窟の奥や水の中で発見せられた実例も少なくない。こういう狭い場処や危険な所も、モノに導かれると通行ができるのだが、ただその人が屁をひるときはモノが手を放すので、たちまち絶壁から落ちることがある。水に溺れる人にはこれが多いように信じられているそうである。備中賀陽の良藤という者が、狐の女と婚姻して年久しくわが家の床下に住み、多くの児女を育てていたという話なども、昔の人には今よりも比較的信じやすかったものらしい。
九 神隠しに遭いやすき気質あるかと思うこと
変態心理の中村古峡君なども、かつて奥州七戸辺の実例について調査をせられたことがあった。神に隠されるような子供には、何かその前から他の児童と、ややちがった気質があるか否か。これが将来の興味ある問題であるが、私はあると思っている。そうして私自身なども、隠されやすい方の子供であったかと考える。ただし幸いにしてもう無事に年を取ってしまってそういう心配は完全になくなった。
私の村は県道に沿うた町並で、山も近くにあるのはほんの丘陵であったが、西に川筋が通って奥在所は深く、やはりグヒンサンの話の多い地方であった。