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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页
五 女人の山に入る者多きこと
マタギ村でも盛んにこれを採取しまた周囲にこれを栽培するが、そのマダとは関係がないといっている。或いは二股の木の枝を杖にして、山中を行くような宗教上の習慣でもあって、こんな名称を生じたのではないかとも思うが、彼ら自身は何と自ら呼ぶかを知らぬから、いまだこれを断定することができぬのである。
八郎という類の人が山中に入り、奇魚を食って身を蛇体に変じたという話は、広く分布しているいわゆる低級神話の類であるが、津軽・秋田で彼をマタギであったと伝えたのには、何か考うべき理由があったろうと思う。
五 女人の山に入る者多きこと
天野信景翁の『塩尻』には、尾州小木村の百姓の妻の、産後に発狂して山に入り、十八年を経てのち一たび戻ってきた者があったことを伝えている。裸形にしてただ腰のまわりに、草の葉を纏うていたとある。山姥の話の通りであるが、しかも当時の事実譚であった。
この女も或る猟人に逢って、身の上話をしたという。飢を感ずるままに始めは虫を捕って喰っていたが、それでは事足らぬように覚えて、のちには狐や狸、見るに随い引裂いて食とし、次第に力づいて、寒いとも物ほしいとも思わぬようになったと語る。