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やまのじんせい

山の人生

柳田 国男

山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页

青空文庫

一〇 小児の言によって幽界を知らんとせしこと

警察などがやかましくなってのちは、力めて内々にその方法を講じたようだが、以前はずいぶん頻繁にかつ公然と行われたものとみえて、今もまま事と同様にこれを模倣した小児の遊戯が残っている。「中の中の小坊主」とか「かアごめかごめ」と称する遊びは、正しくその名残である。大きくなって世の中へ出てしまうと、もう我々のごとく常識の人間になってしまうが、成長の或る時期にその傾向が時あって顕れるのは、恐らくは説明可能なる生理学の現象であろう。神に隠されたという少年青年には、注意してみれば何か共通の特徴がありそうだ。さかしいとか賢いとかいう古い時代の日本語には、普通の児のように無邪気でなく、なんらかやや宗教的ともいうべき傾向をもっていることを、包含していたのではないかとも考える。物狂いという語なども、時代によってその意味はこれとほぼ同じでなかったかと思う。

一〇 小児の言によって幽界を知らんとせしこと

運強くして神隠しから戻ってきた児童は、しばらくは気抜けの体で、たいていはまずぐっすりと寝てしまう。それから起きて食い物を求める。何を問うても返事が鈍く知らぬ覚えないと答える者が多い。