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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页
五
これはむつかしい問題で、同時にまた山人史の研究の、重要なる鍵でもあるように自分のみは感じている。山人の参列はただの朝廷の体裁装飾でなく、或いは山から神霊を御降し申すために、欠くべからざる方式ではなかったか。神楽歌の穴師の山は、もちろんのちに普通の人を代用してから、山かずらをさせて山人と見ようという点に、新たな興味を生じたものですが、『古今集』にはまた大歌所の執り物の歌としてあって、山人の手に持つ榊の枝に、何か信仰上の意味がありそうに見えるのであります。
五
山人という語は、この通り起原の年久しいものであります。自分の推測としては、上古史上の国津神が末二つに分れ、大半は里に下って常民に混同し、残りは山に入りまたは山に留まって、山人と呼ばれたと見るのですが、後世に至っては次第にこの名称を、用いる者がなくなって、かえって仙という字をヤマビトと訓ませているのであります。
自分が近世いうところの山男山女・山童山姫・山丈山姥などを総括して、かりに山人と申しておるのは必ずしも無理な断定からではありませぬ。単に便宜上この古語を復活して使って見たまでであります。昔の山人の中で、威力に強いられ乃至は下され物を慕うて、遙に京へ出てきた者は、もちろん少数であったでしょう。