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にっき
日記
宮本 百合子
11 一九二五年(大正十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页
三月十四日
Y金のなる機という可笑しな、然し面白い貯金箱を見つけて買う。
〔欄外に〕
毎日強い風。今日胸つき坂に出る路で改造の若者に会い、いそぐというので仕方なく往来に立ったまま、ざっと校正をした。
三月十四日(土曜)
久しぶりで林町にゆく、今度は本当に久しぶりだ。これ迄この位永くゆかなかったことはない。母上、例のため、つかれたようにぼんやりして居られる。
ラディオをすえつけたので皆、夕飯後は二時間ばかりそのために一室に集る。まだアンプリファイアがないので音が小さくかなり神経がつかれる。
泥棒の入った話で持ちきりであった。なかなかの豪胆もの。英男まで見たのだという。あの晩泊って居ないで助かった!
泊。眠るときYどうして居るかと思う。若し泥が、私の居ないときに入りでもしたらYのために可哀想と心配した。母上、一寸したことで、バターを注文して貰うことをたのんだら、Yの分までこっちでフタンするのはいやだからね、はっきりして置かないと、と云わる。情けなくなり、そのまま沈黙。母上はいつも私をかばうつもりで、私の純牛乳に水をわろうとするのだ。好意はわかるが、いや、いや。父上、おそく亢奮して帰宅。