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にっき
日記
宮本 百合子
11 一九二五年(大正十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页
十月二日
十月三日
十月四日
大変面白い。作者フィオナ・マリラオドはこのような作にすぐれて居ると思う。宗教的神秘の多くふくまれたものは、このようでは行かないのがあるのではないか。よくわからないが。まだ。
昨日、一昨日の大雨は、五十年来であった由。あっちこっちの崖くずれで、家つぶれ人死にあり。
十月二日(金曜)
「ジャン・ジョレス」。深い感銘をもって読む。そして斯う思う。人間は不思議な生物だ。これほどの人でも生きて居たときは、喪ったときに感じるだけの偉大さ、偉大な存在の感を周囲のものが常に持ちつづけては居ない。そこに、人間の、どこまででも偉大になれ、壮美になれ得る可能性と獣のような無感覚とがある。
十月三日(土曜)
Y、ブブノワ。
八時に小野さんのところまで迎えにゆき大塚へ出、本郷へ出て郁文堂を見る。Yチェホフの晩年の作「峡谷にて」、のあるのを買って来る。高いそうだ。高い高いとぐちる。可笑し。かえってよく見、よかったと云うのだもの。
十月四日(日曜)
百花園にゆく。
百花園には花のほかの見ものあり。
清浦とりまきの陣笠、芸者、夫婦ものの貧しいの、妾の子をつれた六十近い男など。かえりに前川、月、橋の工事、浅草の立ち見でシーホークを見る。