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にっき
日記
宮本 百合子
11 一九二五年(大正十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页
七月一日
「お前云って御覧、姉に云われた方がきくよ」
西洋間でヴィクターをかけて居る国男に、父上のそう云われた心持を説明して誘う。国男も父上のやさしさにひかれて、いそがしいのに来た。父上、自分ではいそがしいとわかって居る息子らを誘い切れず「さあー」と云われては押しきれないので、私を仲介にされた。
「この頃は息子共と歩くのがすきでね」
と云われた。
七月一日(水曜)晴
私共は久しぶりに会うと、亢奮し、互に離れたがらず。今日Y、ひどくぽんぽいたを訴う。腸ではない。さてはと思って居ると、案の定なり。夜、彼女の背中に灸をすえる。これまでひとにあんな――もぐさをつけることなどひどく、原始的野蛮的でいやと思ったが、やって見ると、一緒の快さあり。かすかなる惨虐性の満足と云うべきものか。
Y、鎌倉―大船近い明月谷に一つ、魚河岸の甚兵衛所有の家を(四十円)かして貰うよう話して十円手つけを置いて来たとのこと、よろし。この頃、となり、エンジンのやかましいこと、お話にならず。泣きたい程。
〔欄外に〕
Kimono よみ終る。芸術的にはなって居ず、日本に対する理解もまるで滅茶滅茶なり。下らない。