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にっき
日記
宮本 百合子
11 一九二五年(大正十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页
四月十日
四月十一日
と、アンドレエフの「黒き仮面」を買って来た。自分はジョーンスが自身の黒人の血にまけて、反徒に征服されてしまうところ、面白いと思った。Y、アンドレエフの方をさきによみ、くらべものにならず、という。自分、これは二つの異種のもので、アンドレエフのは、精神、オーネルの方のは本能、をとりあつかったものとして見るべきと思う。作とし、「皇帝ジョーンス」にはむだ、やや平凡なところが多くはあるが。
四月十日(金曜)
仕事を始めたが一枚半ばかりで妙なのに心づき中止。外囲りから書き出したように感じたのだ。いきなり伸子の心持に迫らず。「小さい雲」のわるい点もそれであったと思う。ぐっと一つかみに、心持に迫ること。これが第一。大切な。先、けんぺきを見出すことの大切さを感じた、あれの又一部分的心づきなり。
四月十一日(土曜)
となりの家、ペンキのぬりかえ、やねのなおしで大勢職人出入。今朝大キナトタン板を屋根から放り出す音と云ったら! 仕事まだ書かず、潮の満ちて来るのを感ず、沈め、沈め、潮流をはっきり見出せ。
〔欄外に〕
Y、アンドレエフ進みうれしそうに快活だ。庭ばかり見て、桜の咲いたことを知らず、隣の庭を見てもう花時分と知った。